Story of Advanced Standard

「スタンダード」、その普遍的なものをどのようにアップデートし、表現していくのか。ブランドと所縁のある方をはじめ、核となるフィロソフィーをお持ちの方々に、その方なりのスタンダードに対する考え方や見つけ方などをインタビュー形式で綴る「Story of Advanced Standard」。

第4回目は、スイットデザイナーの小柳さんにお話をお伺いしました。小柳さんは、H/standardでもお取り扱いのあるボタニカルブランド「suite」(スイット)を立ち上げられ、デザイナーとしてご活躍されていらっしゃいます。

——ボタニカルデザイナーの仕事を始められたのは最近だと伺いました。ボタニカルとの出会いを教えてください。

長くアパレル業界にいました。ブランドのプレスから始まって、PR統括として勤めたのちに、新しいショップの立ち上げを担うディレクターになりました。プレスの時からカタログを作成したり、スタイリストにコーディネートの提案をしたりしていましたが、ディレクターになってからはバイイングや店舗のディスプレイなども行っていて、まさに洋服漬けの日々でした。店舗では家具以外の什器や備品を自分たちで作ることもしばしば。その非売品の備品を欲しいと言って下さるお声を多くいただいていました。

子育てのタイミングで会社を辞めて、一旦仕事がまっさらになりました。そんな時にハーバリウムと出会い、とても衝撃を受けました。これからも何か楽しいことを仕事にしたいなと考えていたのですが、販促で携わり興味のあった花のコーディネートをしよう!と思い立ちました。そこから、ハーバリウムの教室でディプロマを取得し、独学でボタニカルデザイナーになりました。

——そこからビジネスとして発展するに至った経緯はどのようなものでしたか?

趣味で作品を作っては、インスタグラムにアップしていました。それを見た友人が、「ボタニカルのブランドをやったほうがいいよ!」と後追ししてくれて。そこからサイトを立ち上げて販売してみよう、となりました。

——作品を作る上でのこだわりを教えてください。

素材こそ違いますが、服をコーディネートする感覚で作っています。材料が違うだけなので違和感はありません。

アパレル業界で仕事をしていた頃から、可愛らしいものやデコラティブなものより、シンプルでスタイリッシュなものが好きでした。それは昔から変わりません。材料の選定も、ボタニカル業界の常識より、自分が好きかどうかというところにこだわっています。そういった意味では好き嫌いがはっきりとしているので、ブランドのテイストはスタート当時から確立していたのかもしれません。

——小柳さんにとってのボタニカルの魅力とはなんですか?

ボタニカルの魅力は、綺麗で素敵なのはもちろんなのですが、1つとして同じものはない、というところです。枝ぶりや、葉や花の色や形、どれも同じものはありません。それをどう合わせて、どう見せて行くかを考えることは、全く飽きがこないのです。

ボタニカルには力があります。天然素材のプリザーブドやドライのみを使用することで、1つ1つの植物が持つパワーを感じてもらえるような物作りをしていきたいと思っています。

——ブランド名でもある「suite」(スイット)はどのような想いが込められているのでしょうか。

フランス語でsuiteは、続き、続編、高級ホテルの続き部屋という意味があります。今だけでなく、先のことを見越してこの名前をつけましたが、ひょっとして2.3年後は違うことをしているかもしれない……今、先々の計画を全て立てるというわけではなく、今現在と、その時その時のやりたいことを繋げていけたらと考えています。

——これからの近い未来、どのような活動をしていきたいとお思いですか。

4月にはじめてのワークショップをしました。様々な反応をいただけてとても楽しかったので、これは続けて行きたいですね。作品も、ハーバリウムだけでなく、スワッグやオイルを使わないものなど、どんどん幅を広げていきたい。海外からの問い合わせが多いので、来年は海外での展示会に参加してみようと計画しています。

シンプルながらスタイリッシュでモダンなスタイルのボタニカルアイテムを提供することで、より暮らしを豊かにしてもらえたら、と話してくれた小柳さん。その時その時に1番楽しいと感じる自分の心に忠実に、1点集中している姿は、好きだという気持ちや、自分の仕事を楽しむことが1番のパワーだと教えてくれます。

スイット主宰
小柳 洋子/Yoko Koyanagi
ファッションブランドのプレス、販促を経て、アンシェヌマン/ミニョンのショップを立ち上げる。ディレクション、プロデュース、マネジメントに従事。バイイングでロンドン、ミラノ、ニューヨーク、パリなど世界中を回る。その間得意とするディスプレイで、ルミネ新宿店VMDコンテストで、全館1位と特別賞を受賞。退職後、販促で携わり興味のあった花のコーディネートに目覚める。ハーバリウムのディプロマを取得、独学でボタニカルデザイナーとなる。
https://suite.official.ec/
https://www.instagram.com/suite_o_/

Interview: Hisako Namekata